寝風呂を一番最初に考えた人に国民栄誉賞を与えたい
イライラしているときは、銭湯に行きたくなる。
だだっ広い、熱々のお風呂に入り、心ゆくまでくつろぐ。あの一瞬に520円を課金してると言っても過言ではない。
大阪に戻って来て早くも約一年半が経ち、近所の銭湯でのルーティンもできた。
受付でお金を払い、お風呂に向かう。ささっと服を脱いだら、とりあえず体重を測る。家に体重計がないから、現状の体重を知っておきたいのだ。
それからは家でお風呂に入る時と同じように自分を綺麗にしていく。早く湯船に入りたいからとショートカットしたりはしない。何なら凝り固まった頭皮をほぐすためにヘッドマッサージもする。
でも銭湯でそんなことをしているは私だけのようで、私が湯船に入る頃には当初いた人たちは大抵いなくなっている。
綺麗になったら、まずはお湯が熱めの湯船に、足先で温度を確認しながら入る。あつっと思わず言葉が出ても気にしない。なぜなら私しかいないから。
全身がお湯に浸かった瞬間、口から邪気みたいな、からだの悪いものがふわ~と出ていく感じがする。イライラしているときの尖った気持ちがだんだん丸くなっていく。
あのふわ~を感じるとき、銭湯に来てよかった~といつも思う。
大体からだが温まったら、寝風呂に移動する。
寝ながらお湯に浸かれるお風呂なんて誰が考えたのだろう。一番最初に考えた人に国民栄誉賞くらいビッグな賞を与えても良いと思う。
寝風呂で顎下までお湯に浸かり、背中側から吹き出るバブルを肩に当てながらぼーっとする。この至福のひと時に勝るものは今のところない。
思うがままにぼーっとしたら、ささっと上がり、服を着てスキンケア。
銭湯ではドライヤーを使うのにお金を払わなければならないところが多いが、こちらでは無料で使える。大変ありがたい。
髪を乾かしたら、ロビーに戻ってコーヒー牛乳を買う。
1回20円のマッサージ機で肩をマッサージしながら、溢さないようにコーヒー牛乳を飲む。
1回で足りなかったらもう一回リピート。もちろん、後ろで誰か待っていないか確認する。でも大抵誰もいない。
2回ほどマッサージ機にお世話になり、店員さんに「おやすみなさい」とあいさつをして店を後にする。
これが私の銭湯ルーティンだ。
たまたま引っ越した近所に銭湯があったおかげで、大阪の銭湯文化が好きになった。
近所の銭湯以外でも、自転車で行ける範囲で銭湯を検索し、尋ねることもある。
場所によって雰囲気は違うが、どこもノスタルジックな昭和の匂いは変わらない。
たまたま一緒になった人と「家近所なん?」とか「今日は寒いねぇ」と会話をし、「さいなら」「おやすみなさい」と別れる。この「さいなら」を初めて言われたとき、今私は大阪にいるんだなぁと感じてすごく和んだ。
もし一人暮らしで孤独感を抱えている人がいたら、ぜひ銭湯をおすすめしたい。身も心も温まる素敵な場所だ。